NHKでは、12週間連続で東京で雨の降らなかった日曜日がなかったと伝えている。しかし、今日はすばらしい天気になりそうだ。特急かいじの車窓からも雪を抱いた富士山がくっきりと見えている。
甲府駅から予約したタクシーで池の茶屋林道終点に向かう。次第に急になり、ヘアピンカーブの続く車道を、私たちが乗った先頭のタクシーはゆっくり登っていく。タクシーさんの年齢は74歳とのこと。以前は65歳が定年だったが、若い人が入ってこないため、定年を先送りしなければ、運転手さんの確保ができず、今では75歳が定年とのこと。介護業界も人材確保が厳しいが、タクシー業界も非常に厳しいようだ。
林道の終点が近づく頃、タクシーの車窓に白峰三山が飛び込んできた。もうこの景色を見ただけで十分満足したと思えるほどのすばらしい風景だった。その余韻を残したまま、林道の終点でタクシーを降りる。これから見られる風景に期待しつつ、声出しをして出発する。シカの食害でアヤメが激減したこともあり、何度か柵を通過していく。周囲のカラマツがきれいだ。
緩やかな斜面を一登りすると、今度は富士山がよく見える。今日は、富士山と北岳の国内1位と2位の標高を持つ山を楽しめながら歩けそうだ。
富士山が見えたところからは、防火帯のように切り開かれたところを緩やかに登る。少し登って振り返ると、南アルプス南部の悪沢岳が見えるようになる。登っているときは、塩見岳だと思っていたが、どうも白峰三山と離れすぎているように思えていた。帰ってカシミールで調べてみると、悪沢岳と赤石岳と聖岳が見えることを知る。塩見岳は、手前の尾根の上に山頂がほんの少し見えている程度のようだ。みなさんには、塩見岳だと間違った情報を伝えてしまい、申し訳なかった。
登り着いたところが奥仙重。昭文社等の地図では、ここが櫛形山となっている。ただ、隣に見えるピークはどうみてもここより高く見える。奥仙重から少し下り、登り返すと、そこに櫛形山山頂の標識がある。詳しいことは分からないが、とにかくここで集合写真を撮る。ここも展望は良くないので、昼食は展望の良い裸山で摂ることにして、すぐに出発する。
木々のないテニスコートが作れるほどの草原状の広場を過ぎたと思うと、苔むした林床が広がったりする。とても変化に富んでいる山だ。ダケカンバやカラマツの巨木もあり、この付近は原生林なのだと思われる。
アヤメの群生地なのだろうか、柵に囲まれた所に着く。柵には、コヒョウモンモドキの写真と説明書きが付けられている。なかなか見ることのできない蝶のようだ。
柵の所から登っていくと裸山に到着する。大勢の人たちが休憩していた。山頂からは、期待通り、白峰三山がよく見える。その右には鳳凰三山が見える。鳳凰三山の左奥にある山は、甲斐駒とのこと。見る方角が違うので、形もかなり違って見えていたので、甲斐駒とは思えなかった。
山頂でゆっくり昼食を摂ってから下山にかかる。アヤメ平休憩舎の手前には多くのマイヅルソウが実を付けていた。アヤメ平は少し前までシカの食害で全滅に近かったようだが、ここ数年、保護活動の成果が出てきて、年々アヤメの数が増えているようだ。保護活動をする方たち感謝したい。また、アヤメの咲く頃に訪れたいものだ。
ここからは北尾根登山道を下っていく。滑りやすいところもあり、2回ほど滑って転んでしまった。14時30分頃、タクシー会社に電話を入れ、展望台に15時30分頃来てほしいことを伝える。展望台に着くと、タクシーはすでに待っていてくれた。朝、私たちを下ろしてからすぐにここに来て、ワックスがけなどをして待っていてくれたらしい。とてもありがたい。展望台からは雲がなくなった富士山が端正な姿を見せてくれている。甲府の町や金峰山方面もよく見える。左手には八ヶ岳も見えていた。
今回は晩秋であり、アヤメなどは見られませんでしたが、その代わりすばらしい展望を楽しめました。12週ぶりの好天にも感謝しつつ、甲府駅へと向かった。
記:網干
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